古代~近代薄毛の悩みは紀元前から
髪には「神」の力あり!?

薄毛は、はるか紀元前の時代から、人類にとって普遍的な悩みとして存在していた。古代エジプト時代の医学書をひもとけば、薄毛は神々の呪いによるものとされ、その治療としてカバやライオン、猫や蛇などの動物の脂を頭に塗りたくるというトンデモメソッドが紹介されている。
続くギリシャ時代には、医学の父・ヒポクラテスによって、ハトの糞を塗りたくる方法も編み出されたという。
現代を生きる我々でも、ヒリつくような切実さを感じるエピソードである。それもそのはず、厄介なことに、古代~中世にかけて髪は「神」のパワーが宿るものであり、権力の象徴であった。
ローマ時代の皇帝・カエサル(シーザー)の短い前髪と月桂冠も、実のところ薄毛をごまかすためのものだったという説さえある。中世ヨーロッパ時代、かつらをステイタス化し、ファッションとしての一大ウイッグブームを巻き起こしたのも、30代で薄毛に悩むようになったルイ14世であった。
恐怖の去勢実験! 男性ホルモンの関与が判明

19世紀には、インドネシアのマカッサル地方でとれる油から作られた「マカッサル油」が、ヨーロッパを中心に毛生え薬という触れ込みで大流行。20世紀初頭には、頭皮の血行をよくすることが抜け毛予防になるという考え方が生まれ、洗髪やマッサージ、電気治療などが注目されていく。
そんななか、現在の薄毛治療のベースとなる発見をしたのが、アメリカの皮膚科医ジョージ・ハミルトンだ。1942年、ハミルトンは囚人を使った去勢実験により、脱毛の原因に男性ホルモン(テストステロン)が関与していることを突き止めたのだった。
ハミルトンの発見は定説となったほか、AGAにおける薄毛の進行パターンをまとめた分類図は、「ハミルトン・ノーウッド分類」として現在も参照されている。




