1970年代~1980年代消費者行動を変える! シャワー時代の挑戦
日本のお風呂事情を変えたのは、あの世界的イベント
体を洗うための石けんがこの世に生まれたのは紀元前3000年頃といわれているが、日本の一般家庭で入浴に固形石けんが使われるようになったのは、それから5000年近くを経た1890年頃のことだという。しかし、当時は内風呂がある家はまれで、多くの人は石けんを持って銭湯に通っていた。
そんな日本の家庭のお風呂事情を変えたのは、1964年に行われた東京オリンピック。選手村の建設が急ピッチで進むなか、日本式の“つかる”お風呂ではなく、シャワーに慣れた欧米人に対応でき、工期も短縮できるユニットバスが開発されたという。シャワーつきユニットバスの普及、さらには集合住宅の増加によって、一般家庭に内風呂とシャワーが一気に普及していった。

日本では、石けんをタオルなどにこすりつけてから泡立て、体をこするという洗い方をするが、シャワーがメインである欧米では、シャワージェルと呼ばれるものを直接体に塗り、泡立てずにシャワーで流すという洗い方が主流。

日本でも1970年代初頭には、湯船につからずにシャワーで流すだけで済ませることも多くなったが、この頃日本で始めてのボディソープが上市されたといわれている。来たるシャワー時代を読んだ商品の登場といえるが、ボディソープが市場に定着するまでには、まだしばらくの年数を要する。
日本人の習慣を変える、企業の挑戦

1984年になると、ライオンが「マリンフレッシュ シャワーソープ」を、花王石鹸(当時)が「ビオレu」を相次いで発売。いずれもシャワー時に使うものとして展開されたが、欧米のシャワージェルとは違い、タオルやスポンジにつけて泡立てる使い方が想定されていた。
これまで石けんをタオルにこすりつけていた習慣を、液体ソープを使って泡立てる新しい習慣へ。「消費者行動を変える」という困難な旅に出る決意を、社名に込めたメーカーが花王石鹸だ。1985年、花王石鹸から「花王」へ社名変更したのは、
石けんに変わる新しい洗浄提案を事業の中核に据える
という強い意志の表れであった。
こうした決意が消費者に伝わったのか、花王の「ビオレu」は、発売の翌年には2倍の売り上げを記録。発売当初の「ビオレu」は逆さにして液を出すボトルだったが、翌年には利便性の高いポンプタイプを発売している。
※なお、花王では固形石けんと区別するという意味で、液体ソープを「ボディウォッシュ」と定義している。



