1990年代大逆転は、エコの足音とともに
石けんからボディソープへ、市場を変える
1992年~1993年にかけて、当時すでに石けんブランドとして知名度のあった「ラックス」(ユニリーバ・ジャパン)と「植物物語」(ライオン)から、相次いでボディソープが発売された。1993年発売の「植物物語ボディソープ」は、同ブランドの石けんの販売金額をまたたく間に追い抜き、発売後1年で石けんの2倍の金額を達成したという。

時期を同じくしてカネボウ(現クラシエホームプロダクツ)は、ギフトセットの一部としてアソートされていたボディソープを単体でテスト販売したところ、好評を博した。手応えを得た同社は、1994年に「植物性ボディソープ(ナイーブ ボディソープ)」として本格的に販売を開始した。当時、ボディソープは石けんに比べて割高だったが、
市場を変えるには、お求めやすい価格も重要
という同社の意気込みによる価格設定で好評を得た。
また、「ナイーブ」ブランドは、発売当時から現在まで
洗う成分100%植物生まれ
というコンセプトを貫いている。先に発売されていたライオンの「植物物語ボディソープ」とともに、“肌にやさしい植物由来”というイメージの牽引役を果たしたといえるだろう。
一方、花王の「ビオレu」は、発売から15年目にあたる1999年に大きな転換期を迎える。中性だった液性を弱酸性へ変更し、
素肌と同じ弱酸性
というキャッチフレーズで肌へのやさしさを訴求。この“弱酸性”というフレーズは、「ビオレu」の“肌にやさしい”イメージを不動のものにする。
肌だけじゃない! 環境にもやさしい製品づくり
こうして、洗浄機能だけでなく“肌へのやさしさ”もボディソープに求められるようになった1990年代半ばには、もうひとつのムーブメントとして“環境へのやさしさ”があった。

高度成長期からバブル期に顕在化したゴミ問題は、生活者に“ゴミを減らす”という命題を否応なく突きつけた。ところが、ボディソープは石けんと違ってプラスチック容器に入っており、使い終わったら“かさばるゴミ”となってしまうのである。こうした背景から、ボディソープの開発において、ゴミ削減もひとつの軸となっていく。

1991年の廃棄物処理法改正、1995年の容器包装リサイクル法成立に先立ち、ライオンは1990年から『環境保全に関する方針』を社内で取り決め、プラスチックの使用を極力削減した容器や詰め替え用を開発。1995年にはカネボウ(当時)が「ナイーブ ボディソープ」の詰め替えパウチを、1996年には花王が「ビオレu」の詰め替えパウチを相次いで発売し、“環境へのやさしさ”を実現している。
1990年代後半には、身体洗浄料市場においてついに、ボディソープの販売額が固形石けんを上回る。各社の取り組みと熱意により、確実に日本の洗浄習慣が変わりつつあった。