2010年代洗うことを楽しむためのアイテムへ
ポンプの泡か、自分で作る泡か
2010年代に入ると、「ビオレu 泡で出てくる! ボディウォッシュ」(花王)や「ナイーブ 泡で出てくるボディソープ」(クラシエホームプロダクツ)など、ポンプを押すと泡で出てくるタイプのボディソープが続々と登場する。もともとはハンドソープやベビーソープに多く用いられていた剤形だが、泡立てる手間がなく、すぐ洗えるという利便性が、
子どもとの入浴で泡立てている時間がない
子どもが自分で泡立てられるかどうか不安
という子育て世代に受け入れられた。
また、泡で出てくるタイプは、タオルやスポンジを使わない“手洗い”がしやすく、肌をこすり過ぎずにすむことから、パーソナルタイプにも拡大していく。

一方で、あえて泡で出てくるタイプを選ばないメーカーもある。2013年、ニベア花王が発売した「ニベア ボディウォッシュ エクストラタッチ」(現在は「ニベア クリームケア ボディウォッシュ」としてリニューアル)は、タオルやスポンジを使うことで濃厚な泡が作れることを訴求。自分で作った泡はへたりにくく、この一手間がぜいたくな時間を演出する。フレグランスのような香り、洗い上がりとともに、パーソナルタイプを追求した一例といえよう。
男性にも、もっとボディソープを!
2010年代に入って、男性向けボディソープは市場が急拡大した。デオドランドブランドの「8x4メン」(ニベア花王)や「デ・オウ」(ロート製薬)などが参入し、爽快な洗い上がりやベタつき・ニオイを落とす力といった清潔感を訴求して好評を得た。こうした訴求から、男性向けにおいては泡タイプよりも、皮脂を落とす力の高いジェルタイプなどのほうが多く、またメントール配合で爽快感を得られるものが主流となっている。

男性向け市場は伸びしろが大きいと見られているが、現状ではまだ女性向けやファミリータイプに比べると売り上げは小さい。ファミリータイプを使っている男性に、まずは男性向けのものを試してもらうことがこの市場を伸ばすカギになると考えられるが、多くの男性は“面倒くさい”から、家族が買って来てくれたり、どこでも買えたりするファミリータイプを使っているのが実情。しかも、ボディソープを使用する20代男性のうち、約3割がボディソープで洗髪・洗顔まで済ませてしまう(2017年、花王調べ)ほどの“面倒くさがり”なのである。

花王は、生活者の行動に合わせる形で、一本で体も髪も洗える「メンズビオレ ONE オールインワン全身洗浄料」を2018年に上市し、まずは男性向けボディソープ使用率の底上げを図っている。

このような“面倒くさがり”の男性がいる傍ら、若年男性を中心に洗浄習慣にこだわる層も出始めた。単なる洗浄習慣が、エチケットへと変容してきたのである。“落とす”ではなく、“肌ケア”に主眼を置き始めた男性たちは、
あまり強い洗浄力は、肌に良くなさそう
肌のことや、ニオイのことも気になる
と考える。
こうした層が自分向けのものとして受け入れることのできる商品として、寝起き時の汗のニオイも抑える「8x4メン デオドラントボディウォッシュ リフレッシュ」(ニベア花王)や、保湿成分配合の「メンズビオレ 薬用デオドラントボディウォッシュ 肌ケアタイプ」(花王)などが登場している。
もっともっと肌のことを考えたい

もともと肌ケア意識が強い女性は、男性よりもさらに肌の乾燥に対する感覚がシビア。とくに入浴後は肌の乾燥を感じやすいシーンだが、子育てなどで忙しかったり、仕事で入浴が夜遅くなってしまったりして、お風呂上がりにボディクリームを塗れないことも多い。こんな女性たちに向けて、ライオンは2016年に「hadakara(ハダカラ)」を上市。水に流されてしまいやすい保湿成分を、肌に吸着しやすい複合体に変化させることで
保湿成分が洗い流されない
というベネフィットを実現した。高保湿タイプながらも低価格に抑えたことで、家族で使えるファミリータイプとして愛用者を増やし、シェアの一角を占めるようになった。2018年には泡タイプも追加し、泡タイプユーザーの増加に貢献。さらに、2020年には「hadakara ボディソープ 泡で出てくるオイルインタイプ」を発売し、高保湿イメージをより高める構えだ。

「ナイーブ」「ビオレu」というファミリータイプが市場に定着しているクラシエホームプロダクツと花王だが、いずれもファミリータイプの枠にとどまらない進化を見せている。クラシエホームプロダクツは2017年に、肌のラメラ構造を壊さずにうるおいを保つという技術により、洗ったあとの保湿がいらない「ラメランスボディウォッシュ」を発売。
花王は2019年、「ビオレu」ブランド誕生35周年を機に、ファミリータイプの新ブランドとして「ビオレu ザ ボディ」シリーズを発売。ボディソープは浴室の環境によって変色することがあるため、不透明のボトルを採用するのが一般的だが、「ビオレu ザ ボディ 泡タイプ」シリーズはあえて透明ボトルを採用。品質への自信と、見た目の新規性を表現しつつ、3層メッシュ構造のボトルにより“生クリーム泡”を実現した。

泡タイプの伸張とともに、「肌をこすり過ぎない」という価値が主流になっていく一方で、ニベア花王は「肌のざらつき」もユーザーの悩みとして大きいことに着目。「ニベア クリームケア ボディウォッシュ」の豊かな泡立ちはそのままに、古い角質や汚れを楽に洗い落とせる成分を配合した「ニベア エンジェルスキン ボディウォッシュ」を2019年に上市し、新たな肌メリットとしてユーザーに受け入れられているようだ。
現在、ボディソープ市場は、ファミリータイプとパーソナルタイプだけの分類では語りきれないほど多様化している。家庭においてボディソープ購入の決定権をもつのは圧倒的に女性(妻、母)だが、女性はライフステージごとに商品選択の基準が変わっていく。

夫のため、子どものため、自分のため…。もはや“パーソナルinファミリー”と呼んでもよい女性の感性に訴えかける商品が、これからも市場を改革していくのだろう。