2010年代スペシャルケアから日常のケアへ

2011年、通信販売が中心だったグライド・エンタープライズが、「ルルルン」ブランドのシートマスクを実店舗に投入。42枚入りの大容量をラインナップし、シンプルでかわいいパッケージもあいまって注目を浴びた。そして、「ルルルン」シリーズはあっという間に市場のトップに躍り出た。

既存ブランドも、もちろん徒手で見ていたわけではない。シートマスクに含浸する液剤だけではなく、シート自体の形状や素材にも工夫をこらし、製品のクオリティを上げていった。クラシエホームプロダクツ(現・クラシエ)が2011年に発売した「肌美精 うるおい浸透マスク3D」シリーズは、それまでの平面的なシートではなく、顔の形に添うように成形した<立体フィット3Dマスク>を採用。そのほかにも、液剤や使用シーンに合わせたシートの開発を行っている。
2014年10月、外国人旅行者向け消費税免税制度が改正され、化粧品にも免税制度が適用される。これを契機にお土産需要が拡大し、シートマスクの市場拡大を後押しする。とくに、2015年に発売された「毛穴撫子 お米のマスク」(石澤研究所)のような、和風素材使用を前面に押し出したものが人気だったようだ。
「ルルルン」のヒットにみられるように、シートマスクはここぞというときのスペシャルケアから、気軽に毎日使える日常ケアへと立ち位置を変え始めていた。そんななか、2015年4月にスタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニーが発売した「サボリーノ 目ざまシート」は、朝の洗顔代わりにシートマスクを使うという新たな切り口で登場。シートマスクを肌に貼る時間は10分前後が標準だが、「サボリーノ」シリーズは1分に設定し、時短需要を取り込んだ。
2010年代後半になると、2019年の中国のEC法改正や、2020年の新型コロナウイルス感染症の影響による外国からの旅行者の減少により、インバウンド需要が急激に縮小。シートマスク市場全体が打撃を受けたが、2021年頃には国内需要を立て直し、回復傾向に向かった。