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胃腸薬歴史市場シェア

2025年7月25日歴史・グラフ更新

昭和時代(1926~1989年)戦前・戦後の胃腸薬

現在も愛される人気商品の誕生

時代が昭和に移ってもなお情勢不安が続き、食糧事情も思わしくなく、国民の栄養状態も同様でした。とくに、かねてより国民病と言われていたのがビタミンB1欠乏により生じる脚気で、これを防ぐために着目されていたのが、ビール酵母に含まれる栄養素です。

今も昔も変わらぬ価値を提供しているロングセラーブランド 「エビオス」

この頃、明治時代から続けられていた酵母に関する研究と、醸造関連の技術から新しい胃腸薬が生まれます。それが1930年に発売されたビール酵母製剤「エビオス」(現アサヒグループ食品)です。早くからビール酵母を重要な研究対象としており、そのビール酵母には、ビタミンB1をはじめ、多くの栄養分が含まれていました。そこで、栄養分をできるだけ壊さずに、ビール酵母を乾燥する技術やホップに由来する苦味を除去する技術を開発。「エビオス」は、「ヱビスビール」とラテン語の「ビオス(生命のもと)」を組み合わせて名付けられたとのこと。発売後、エビオス工場を新設するほどの好評を博し、現在まで続く人気商品はスタートダッシュを決めることに成功します。

また、同時期に同じくビール酵母に着目し発売された「わかもと」(わかもと製薬)は、1962年に薬効をさらに高めた「強力わかもと」を発売。こちらも、現在でも多くの人に支持されるロングセラー商品となっています。

「食べ過ぎ・飲みすぎ」を訴求してメガヒット!

現在も「シロンS」として発売中

戦後しばらくは米や塩などの配給制が続き、厳しい食糧事情が続きましたが、状況が改善して統制が解かれると、人々の消費活動も活発になっていきます。1956年(昭和31年)の「経済白書」には「もはや戦後ではない」というフレーズが残され、戦後復興が一段落したことが示されています。

この時期と前後する1954年に発売されたのが、現在の「パンシロン」ブランドのルーツとなる胃腸薬「シロン」(ロート製薬)です。「シロン」は、当時の社長がスイス・レマン湖のほとりに建つシロン城を見て、その素晴らしさに感銘を受けたことから命名されました。携帯にも便利な薬包紙に包まれた粉末の胃腸薬の「シロン」は、1962年には年間4000万個の売り上げを記録。全胃腸薬2000品目中、市場寡占率47.5%を占める驚異的な数字をたたき出します。当時の日本の人口は1億人に達しておらず、大人の数だけで考えれば、ほぼ国民全員が愛用していた(!)ともいえる、とんでもないメガヒット胃腸薬だったのです。

かつて1種類だった「パンシロン」も、現在はさまざまな胃の悩みに応えるラインナップを展開している。

メガヒットの勢いに乗ったロート製薬は、1962年には「シロン」に強肝成分<パントテン酸カルシウム>をプラス配合した「パンシロン」(ロート製薬)を発売(名前の由来は<パントテン酸カルシウム>の「パン」+「シロン」)。粉末から顆粒へ衣替えして飲みやすさも追求し、さらにシェアを拡大していきます。

ロート製薬がヒットを飛ばす一方で、他社からも胃腸薬が続々と登場。1957年に消化酵素や制酸剤、生薬など有効成分を複合的に配合し、幅広い症状に効果がある「三共胃腸薬」(三共・現第一三共ヘルスケア)が、1960年に荒れて傷んだ胃の粘膜を修復して、正常な状態に整える有効成分MMSC(メチルメチオニンスルホニウムクロリド)を特長成分として配合した「キャベジンコーワ」(興和新薬・現興和)がそれぞれ発売されています。

現在もトップブランドの一つとして市場をけん引する「キャベジンコーワ」は、その時代に多く着目された消化器症状やニーズに合わせて処方も少しずつ改良。胃粘膜修復成分のMMSCに加えて、健胃生薬のソヨウ、消化酵素のリパーゼ AP12などを配合してきました。そうした細やかな対応によって、日本人の動きの鈍った胃を元気にし、正常な働きを取り戻していく総合胃腸薬として、長年愛されるブランドへと成長していきました。

食事やお酒を積極的に楽しむ時代へ。「食べる前に、のむ!」

1978年には、漢方薬の処方を取り入れた新しい胃腸薬「大正漢方胃腸薬」「大正胃腸薬」(ともに大正製薬)が発売。「大正漢方胃腸薬」については、発売と同時に大量陳列&試供品を薬局・薬店で展開。また、推奨販売法のビデオを作成し、勉強会等で活用。その綿密な計画によって、発売後1年で市場シェア9.9%と胃腸薬部門のトップグループ入りを果たし、業界の注目を一気に集めることとなります。

その後の1989年、当時の大ヒットドラマ「北の国から」の田中邦衛をTVCMに起用、エネルギッシュに歌い踊って「食べる前に、のむ!」のキャッチフレーズで一世を風靡しました(ちなみに、初代の小林桂樹から、宇津井健→田中邦衛→中村雅俊→渡辺徹→長塚京三→小栗旬、と時代に合わせたキャラクターを起用しています)。

1980年代以降になると、胃酸に着目した胃腸薬が次々に発売されます。1985年に発売された「タケダ胃腸薬21」は、胃酸の量に応じて制酸作用をコントロールする技術「phセンサー(ペーパーセンサー)」を採用した総合胃腸薬で、その新しい技術は注目を集めました。

OTC胃腸薬の分類

OTC胃腸薬は、1980年(昭和55年)に制定された「胃腸薬製造販売承認基準」によって、全部で7種類の製剤が認められています。それぞれ効能・効果も異なりますが、このうち、市場で最もシェアが高いのは「総合胃腸薬」。「制酸薬」「健胃薬」「消化薬」「整腸薬」のうち2つ以上の目的をもつ胃腸薬をいい、それぞれの薬の主成分を組み合わせることで、複合的な効果が期待できるのです。

※「止瀉薬」については、下痢止めとして別に扱われることが一般的なので、本記事では省略しています。
※「総合胃腸薬」の名称については承認基準上の規定から、一般的な名称を用いています。

特長
主な成分
制酸薬
出過ぎた胃酸 イメージ
  • 出過ぎた胃酸を中和
  • 胃酸分泌を抑える
炭酸水素ナトリウム(重曹)、沈降炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、炭酸マグネシウム、ファモチジン、ロートエキス、ピレンゼピン塩酸塩
健胃薬
胃もたれ イメージ
  • 胃もたれ、食欲不振、二日酔い、吐き気を改善
オウバク、センブリ、ケイヒ、ショウキョウ、カルニチン塩化物、トリメブチンマレイン酸塩
消化薬
消化不良 イメージ
  • 消化不良、胃もたれを改善
ジアスターゼ、プロザイム、リパーゼ、タカヂアスターゼ、ウルソデオキシコール酸
整腸薬
膨満感、便秘 イメージ
  • 膨満感、便秘、軟便を改善
乳酸菌、酪酸菌
鎮痛鎮痙薬
胃痛 イメージ
  • 胃痛、胃けいれんを改善
ロートエキス、ブチルスコポラミン臭化物、チキジウム臭化物、アミノ安息酸エチル、カンゾウ、シャクヤク
総合胃腸薬
  • 2つ以上の薬効群の成分が配合されている
  • 複数の症状に使える
  • 胃の機能を抑えるタイプ(制酸成分、芳香性の生薬など)
  • 胃の機能を高めるタイプ(健胃生薬、消化酵素など)

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