2000年代スイッチOTC成分の台頭

2000年代に入ると、花粉による鼻炎症状に悩む人は増加の一途をたどり、各メーカーも鼻炎用内服薬や鼻炎用点鼻薬を次々と上市。鼻炎薬市場は拡大を続けていた。
しかし2000年5月、アメリカで、塩酸フェニルプロパノールアミン(以下PPA)を食欲抑制剤として使用した女性において、脳出血の危険性が高まるという報告がなされる。食欲抑制剤としての使用は高用量であり、日本国内の鼻炎用内服薬やかぜ薬に配合される量では危険性は低いとされたが、国内でもPPAと関連する副作用が疑われる症例が発生したため、厚生労働省は2002年に承認基準(※下のコラム参照)からPPAを削除。さらに2003年には、速やかな使用上の注意の改訂と、PPAから塩酸プソイドエフェドリン等への成分切り替えを指示した。
当時、厚生労働省が公表したPPAを含有する主要医薬品リストによると、鼻炎用内服薬は157製品が該当していた。メーカーや業界団体は、2000年にアメリカで報告がなされた時点で危機意識をもっており、すでに対応する準備を進めていたようで、2002年頃から2004年初頭にかけて、かなり多くの鼻炎用内服薬がすみやかにリニューアルしている。なかには、厚生労働省の指示をまたずに自主的にリニューアルしたメーカーもある。佐藤製薬が2000年に発売した「ストナリニサット」はPPAを配合していたため、翌2001年に「ストナリニ・サット」としてリニューアルしている。

2000年代後半になると、第二世代の抗ヒスタミン成分が相次いでスイッチOTC化された。2005年に点鼻薬としてスイッチ化が承認されたフマル酸ケトチフェンは、翌2006年に内服用、2007年に点眼用の承認を受ける。GSKは2007年、満を持してケトチフェンフマル酸塩(※)配合の「ザジテンAL」シリーズを発売。内服薬、点鼻薬、点眼薬を同時発売するとともに、TVCMを大量投入し、大型ブランドの登場を印象づけた。また、すでに医療用医薬品としてターゲットの認知をもつ「ザジテン」の名称をOTCでも使ったことは、当時としては驚きをもって市場に迎えられた。
※2006年3月に日本薬局方第十五改正があり、同じ成分でも表記が変わっている。
2006年に塩酸アゼラスチン、2008年にエメダスチンフマル酸塩と、医療用成分のスイッチが続いた。塩酸アゼラスチンは、鼻炎だけでなく皮膚症状の効能も認められており、エーザイはアレルギーによる「鼻の症状」と「皮膚の症状」の両方を訴求した「ハイガード」を発売している。