2010年代香り需要の拡大/シートタイプの躍進
香り付きタイプが市場を回復へ
2010年以降は、トイレタリー全般において香り付きに対する需要が拡大。防虫剤も香り訴求の新商品が多く投入され、商品単価の下落から縮小傾向にあった市場は、新規需要を取り込んで回復傾向へと向かう。

2010年、白元(現・白元アース)から「フローラルミセスロイド」が発売され、香り付き防虫剤という新ジャンルが確立される。同年、エステーも、無臭タイプのほかに、洗い立ての香りが収納空間や衣類に広がる香り付き防虫剤「かおりムシューダ引き出し用/クローゼット用」を発売。防虫剤の使用率が低い若年層やノンユーザーにも手に取ってもらうため開発したという。
2014年、民事再生法を申請していた白元は、アース製薬に事業を譲渡することとなり、白元アースが設立される。翌2015年には、白元アースが「ミセスロイド/フローラルミセスロイド」を、防虫、消臭、防カビ、黄ばみ防止つきにリニューアルし、さらに2017年、収納空間のダニ除け効果を追加する。高機能へとリニューアルを繰り返した「ミセスロイド」は、2018年に発売30周年を迎えるロングセラーとなった。

大日本除虫菊は、2015年、「タンスにゴンゴン」をリニューアル。新形状のオープンエッジ構造により薬剤の拡散力を向上させることで、衣類の防虫効果を20%アップさせ、さらにダニ除け効果をプラスした。また、「ロングラスティング処方」で優雅な香りが1年間持続する、香り付きタイプもラインナップした。2016年には、“防虫剤の終わり(取替時期)がわかりづらい”という生活者の声を受け、ビーズを使用し、ビーズがなくなったら交換時期、とひと目で見てわかりやすくした「タンスにゴンゴンアロマビーズ」を開発。2017年には、人気キャラクター・ポムポムプリンとコラボした「ゴンゴン ポムポムプリン」を発売し、女性層の需要拡大を図っていく。

また、男性の加齢臭の消臭に特化した、「ゴンゴン for MEN」を2018年に発売すると、男性よりも40代~50代の主婦が代理購入しているという傾向が見られた。
ナチュラル系防虫剤も人気に


近年のオーガニックブームを受け、各社天然成分を採用し、やさしく衣類ケアできる防虫剤を投入している。2017年、アースは天然成分100%で、ハーブの心地良い香りが特長の「natuvo(ナチューヴォ)」を発売する。2018年には、白元アースが100%天然由来成分、無添加処方の「ナチュラルミセスロイド」を、エステーがトレンドのボタニカルの香りを採り入れた「かおりムシューダBOTANICAL」を発売。若年層や新規顧客の開拓を図り、市場は活性化の兆しをみせている。
シートタイプへの注力度が増していく
除湿剤においても、香り付きタイプやタンク型、シート型に変わる新たな形状など、機能性がアップした高付加価値商品が目立つようになっている。

業界初の香り付きタイプ除湿剤「フローラル・ドライ」を白元(現・白元アース)が発売。翌年、オカモトも日常生活で香りを楽しむ人が増えていることに着目し、香り付き除湿剤「水とりぞうさん香り付き550mL3個パック」を発売し、発売直後から人気商品となる。また、これまでクローゼットなど大型の収納スペースが普及してきたことを受け、シートタイプのひとつとして「クローゼット用」を販売してきたが、2015年、より速くしっかりと湿気を吸収し、衣類を守りたいというニーズに応えるために「水とりぞうさんクローゼット用大判タイプ」を発売。ポールに掛けやすいハンガーが使いやすいと評判になり、売上げを伸ばす。さらに、除湿と防虫をワンセットにした「水とりぞうさん防虫剤付クローゼット用(大判タイプ)」を2018年に発売。用途に合わせた幅広いラインナップの画期的な除湿剤を展開し、オカモトは勢いを増していく。

また、新たな形状の除湿剤として、オカモトは、タンクタイプ、シートタイプのいいとこ取りで、どこでも置けてどこでも使える「水とりぞうさんどこでもテトラ」を2017年に開発。引き出し、下駄箱、シンクの下など、狭小スペースの湿気を素早く吸湿するという特長のある商品で注目を集める。

一方、若年層の除湿剤使用率に陰りが見えるなか、エステーは新開発のスタンドパック容器を採用し、見た目もスッキリな除湿剤「ドライペット クリア」を2018年に発売。スタイリッシュなデザインと、廃棄のしやすさで若年層の女性をターゲットとして展開していく。
住宅環境は変化し、防虫剤はトータルケアへ


令和に入り、気候の変化から季節感自体も失われつつあり、衣替えという習慣自体も薄れつつあるが、住宅事情の変化に対応した新商品も生まれている。例えば、ウォークインクローゼットは人気の住宅設備となっており、白元アースの調べによれば、その所有率は20~40代の女性で高く、住宅購入予定者の求める設備としても一番に名前があがっているという(※)。これに合わせ、同社はこれまでのクローゼット以上に広い収納空間(2畳)での使用を想定した「Naturalミセスロイド ウォークインクローゼット用」を2023年に発売した。
※https://www.hakugen-earth.co.jp/topics/docs/NaturalMR_WCL.pdfまた、近年、住宅の気密性・断熱性が高まる一方、ダニの発生率が増えていることから、無臭タイプのピレスロイド系防虫剤では「防ダニ・防カビ」が、天然素材の衣服に適したパラジクロルベンゼン系防虫剤でも「防ダニ」を訴求する傾向にある。今後、収納空間に対するトータルケア需要を掘り起こし、幅広い年代に向けて正しい衣類ケアを情報発信していくことも、防虫剤カテゴリーの成長につながりそうだ。
ダニ忌避機能の訴求率

(ネットパイロティング調べ/2022年8月~2023年7月)
一方、除湿剤市場は、タンクタイプからクローゼット用のようなシートタイプへの移行が、ますます進むと考えられている。ただ、エアコンや除湿器の普及により、24時間湿度コントロールされている住居も増え、市場全体では大幅な伸びは厳しいと見られる。そのため、視点を変えたより細かい用途別の商品展開や、デザイン性、コンパクト化などが求められるとともに若年層などの新規需要の取り組みもキーとなりそうだ。