2000年代~2010年代新たな訴求と試行錯誤

「凍らせて駆除」という新規性
ここで、ゴキブリ用エアゾールに影響をもたらした不快害虫用のアイテムに触れておきたい。2007年に、ライオンが「バルサン」ブランドから不快害虫用エアゾールとして発売された「飛ぶ虫氷殺ジェット」と「這う虫氷殺ジェット」だ。いずれの商品も殺虫成分を含まず、スプレーするミストの気化熱によって害虫の動きを止め、駆除するというもので、殺虫成分を含まないこと、付着汚れがないという手軽さによって異例の売上げを記録した。殺虫成分を含んでいないため、ゴキブリ以外の害虫を対象としていたが、当時画期的だったこの商品をゴキブリに応用できればと考えた生活者も存在したものと思われる。しかし、発売開始から数カ月で、火気の近くでの噴射や長時間の噴射などによる事故が複数発生し、販売中止・自主回収となった。
凍結エアゾールがゴキブリ用として復活

安全性への懸念から、凍結タイプのエアゾールはこのまま消えるかに見えたが、2013年、フマキラーが「ゴキブリ凍止ジェット」を発売した。過去の事例をふまえ、不燃性ガスを採用し、安全性に配慮。溶剤と殺虫成分を含まないため、キッチンなどでも使いやすいゴキブリ用エアゾールとして評価を得た。現在は、殺虫成分を含まないことから、行動停止剤として「フマキラーゴキブリ超凍止ジェット」が販売されている。このほか、2016年にはアース製薬がハッカ油をプラスした「ナチュラス 凍らすジェット ゴキブリ秒殺」を、2018年には大日本除虫菊が殺虫成分イミプロトリンを配合、さらに、フィルムをはがすとシンプルなパッケージが現れる工夫を加えた「コックローチ ゴキブリがうごかなくなるスプレー(凍結タイプ)」を発売。過去の教訓をもとに試行錯誤がなされ、現在では各社さまざまな特徴を打ち出した凍結エアゾールを展開している。

2010年代は、「隠れた場所に潜むゴキブリ」に対するアプローチも進化した。その一つが、2016年に発売されたすき間にスプレーするタイプの「ゴキブリワンプッシュ」(フマキラー)だ。有効成分d・d-T-シフェノトリンのフラッシング(追い出し)効果により、冷蔵庫や洗面台などのすき間にスプレーすると、ゴキブリがすき間から明るい場所に這い出てきて死ぬ。さらに最大で1カ月ほどの待ち伏せ効果により、後から来たゴキブリの駆除も期待できる。ひと目につく場所に追い出す効果によって駆除の成果が目で確認できるという点が評価を得ているという。