2020年代パーツごとのスタイルにこだわる時代へ
前髪スタイリングのさらなる進化


2020年代に入ると、スプレーとは異なる剤形の前髪専用のスタイリング剤が徐々に市場での存在感を高めるようになった。なかでもマスカラ・ブラシタイプは、シェア上位となる多田の「プリュスオー ポイントリペア」(2019年発売)に続き、カネボウ化粧品の「ケイト バングスキープフィクサー」(2021年発売)、花王の「ケープFOR ACTIVE 前髪ホールドマスカラ」(2023年発売)など、前髪を崩れにくくするアイテムが店頭でしのぎを削っている。「眉と前髪のバランスを理想通りにキープしたい」というニーズが、スタイリング剤の進化と多様化を促した結果である。
ウルフカットの再流行とヘアアイロン需要の増加
また、レイヤーを生かしたウルフカットが再流行。1980年代~2000年代にかけて流行したスタイルが、現代風にアレンジされて復活した。ウルフカットでは、全体的な軽さを生かし、ヘアアイロンで外ハネを作るスタイリングにする場合もあり、スタイリング剤のトレンドにもじわりと変化が生じ、ヘアアイロンの熱ダメージを抑えるスタイリング剤の需要が拡大。クラシエの「プロスタイル フワリエ」(2017年リニューアル)などのアイロン用スタイリング剤が、よりナチュラルな仕上がりを求める層に支持されるようになった。
韓国トレンドの影響
2020年代において注目されるのは、K-POPグループの人気やインフルエンサーの影響だ。日本のヘアスタイルにおいても韓国トレンドが強い影響力を持ち続けている。例えば、前髪スタイルではシースルーバングや掻き上げといったバリエーションがあり、こうしたスタイルを追う流れは、とくにZ世代に顕著に現れている。
近年、ヘアスタイル全般のトレンドの移り変わりに加え、前髪などのパーツへのこだわり、スタイルキープへのニーズなど、スタイリング剤に求められる要素も細分化、多様化する傾向が見られるようになった。このほか、全体のシェアとしては少ないものの、バームやパウダーといった新しいテクスチャーのスタイリング剤も注目を集めている。今後、トレンドやニーズの変化と、それを受けるメーカー各社の開発よって、スタイリング剤がどのような進化を遂げていくのか、注目していきたい。