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目薬歴史市場シェア

2023年5月26日グラフ更新

2000年代~2010年代暗黒時代から一転、高単価時代に!

<機能特化><高機能化><高価格>がカギ

2000年代に突入しても目薬の安売りは続いており、各社とも状況を打破しようともがいていた。

ロート製薬 「ロートアイストレッチ」 (2002年発売)

ロート製薬は、生活者の目の悩みがピンポイントなものになっていることに着目。2002年の「ロートアイストレッチ」を皮切りに、「ピント調節筋のコリ対策」「紫外線によるダメージ対策」「乾き目対策(高粘度)」「起床時の目やに対策」など、特定の悩みに対応する<機能特化>タイプの目薬、「解眼新書」シリーズを展開する。

この時期、<コンタクト>レンズ用の目薬も、「目の乾きに特化した粘度の高いもの」「より清涼感の強いもの」「疲れ目に効果があるもの」「アレルギー用」など<高機能化>が進んでいる。際だった特長をもつ目薬は、万人向けでないぶん安売りされにくかったのである。

参天製薬 「サンテメディカル10」 (2006年発売)

一方、<オールラウンド>タイプの目薬は、依然として大きく値引きされていた。そんな状況を打ち破ったのは参天製薬である。「本当に価値のある目薬を作り、きちんと提案すれば、適正な価格で購入してもらえるのでは」と考えた同社。眼科医が疲れ目の患者に処方している2つの点眼薬の成分をベースに、8つの疲れ目に効く成分を配合した「サンテメディカル10」を2006年に発売する。10種の有効成分入りで1200円台という価格設定に、

こんなに高い目薬が本当に売れるのか?

という声も多かったという。だが、商品コンセプトに賛同してくれた薬局・薬店とともに市場を作り上げていき、異例のヒット商品となる。これを追うように、ロート製薬も11種の有効成分を配合した「ロートV11」(2008年)を発売。<高価格目薬>という新ジャンルが誕生した。

ライオン 「スマイル40EXゴールド」 (2010年発売)

また、2010年にはライオンが「スマイル40EXゴールド」を発売。こちらもヒットし、<中価格目薬>というジャンルを生み出した。

「コラボ」「爆買い」「プレミアム化」

2010年代の目薬市場では3つの大きな出来事があった。

参天製薬 「サンテFXネオ」 (2012年)

ひとつは「コラボレーション」。2012年、人気アニメ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の公開に合わせて、参天製薬は「サンテFXネオ」のタイアップを企画する。子ども向けキャラクターではなく、大人にもファンの多いアニメコンテンツと医薬品がコラボレーションするという、これまでにない試みは大成功。新規顧客獲得につながり、目薬ユーザーの裾野が拡がった。同社はその後も、アイドルやゲームソフトなどと立て続けにコラボ企画を行い、大きな話題となった。

また、ロート製薬も2017年、「ロートジー」の発売30周年を記念して、同じく30周年を迎えた人気ゲーム『ドラゴンクエスト』との企画を立案。容器や箱の開け方、添付文書にいたるまで徹底的にこだわった作り込みは、発売前からネットで話題に。発売後わずか数日で完売し、急きょ増産するもまたもや売り切れという大ヒットとなる。


参天製薬 「サンテボーティエ」 (2013年発売)

ふたつめは「インバウンド需要」。2014年、中国の大手ポータルサイトに「日本に行ったら絶対に買わねばならない12の神薬」という記事が掲載された。そのひとつに、参天製薬の「サンテボーティエ」(2013年)が選ばれたのである。同商品は、訪日外国人によるインバウンド需要、いわゆる「爆買い」の対象となり、驚異的な売れ行きを記録した。


ライオン 「スマイル40プレミアム」 (2013年発売)

そして3つめが「プレミアム化」である。<高価格>目薬は、配合成分の数が注目されがちだが、目薬に配合できる有効成分の最大数は12と決まっている。成分数競争の終わりは、すぐ目の前に見えていた。

そんな2013年、ライオンは配合成分数を前面に出さない<高価格>目薬、「スマイル40プレミアム」を発売する。「年齢による目の変化に対応した、最高の処方を作ろう」と開発された同品は、配合成分数を増やすのではなく、効果の高い成分を増強することを選択。同社が得意とするビタミンAの吸着性をさらに高め、3万5000I.U.(100mL中)まで増量したプレミアム処方としたのである。また、ターゲットである中高年に合わせ、パッケージの文字は商品名や成分名よりも症状を大きくし、広告はあえて新聞を中心に展開。こうした戦略が見事に成功し、売上を伸ばしている。

深化する目の悩みに、進化した目薬を

学校の授業にタブレットPCが導入され、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)といった新技術が登場し、「スマホ老眼」という症状が急増するなど、近年、目を取り巻く環境は過酷さを増している。また、平均寿命の延伸や、高齢就業者の増加など、ユーザー自身の変化も大きい。


深化する目の悩みに対応するべく、目薬は細分化して進化を続けてきた。一方で、その種類の多さから「自分にあった目薬がどれかわからない」と戸惑うユーザーも存在する。つまり、販売員が個々の目薬の特長を理解し、悩みに応じて適切な商品を提案することができれば、信頼を得やすい商品群といえるだろう。今回の記事がきっかけとなり、自店で扱う目薬に興味をもっていただければ幸いである。

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