2010~2020年代新技術&特化で閉塞感を打破

カビクリーナー市場
新商品が市場の流れを好転
価格競争の激化により、2010年代初頭のカビクリーナー市場は縮小傾向にあった。だが、各社の新商品が流れを好転させていく。
浴室環境を徹底調査したライオンは、風呂場の天井に潜むカビが、浴室全体の汚染源となっていることを発見する。だが、従来のカビクリーナーで天井のすみずみまで掃除することは難しい。そこで同社は、2004年に取得した害虫駆除用くん煙剤「バルサン」の技術に着目。5年にわたる研究の末、銀の粒子を煙で飛ばして浴室全体のカビを除菌する、「ルック おふろの防カビくん煙剤」(2012年)を発売する。

使い方が簡単で、定期的に使用すればカビの発生を防げる、という同品は、年間10億円の売上で成功とされるカビクリーナー市場で、2倍以上の出荷額を達成。他社からも次々とカビ防止剤が登場し、新たなサブカテゴリーとして定着するほどの大ヒットとなった。

また、従来のカビクリーナーに新技術をもち込んだのが、ジョンソンの「カビキラー 電動スプレー」(2013年)である。レバーを引き続けている間、液を自動噴射するため、広範囲のカビ取りでも手が疲れず、スプレー時間も約5分の1に短縮できるという同品。カビ掃除が手軽になったことで、掃除頻度のアップにも繋がっている。

浴室排水口のカビやぬめりに特化して開発されたのが、「強力カビハイター排水口スッキリ 粉末発泡タイプ」(花王/2018年)である。排水口に粉を振りかけて水を注ぐと、強力に発泡して汚れを落とす商品。使用方法の手軽さと目に見える効果感、そして「排水口は洗いにくい」「触りたくない」という生活者の心を掴み、売れ行きを伸ばしている。
バスクリーナー市場
掃除の負担削減で市場規模が2割拡大!?
2010年代のバスクリーナーは、浴槽・浴室の洗浄だけでなく、消臭や防カビ、除菌などの機能を付加した<多機能化競争>が起きていたが、市場は横ばいだった。
ライオンは市場拡大のため、生活者が本当にバスクリーナーに求めているものを、ゼロから考えるプロジェクトを発足。「生活者は多機能な洗剤を求めているわけではなく、ラクしてキレイなお風呂に毎日入りたいと考えている」という結論にたどり着いた。そのためには、体の負担が大きい毎日の「浴そうのこすり洗い」をなくすことが最重要課題である。
「こすらずに汚れが落ちる」とうたう商品はあったが、実際、生活者は浴槽をこすり洗いしていた。なぜなら、浴槽全体に洗剤をかけるには『200回以上ものプッシュが必要(※)』で、洗浄力も不十分だったのだ。
※同社従来品を一般的なサイズの浴槽にかける場合

同社は7年にわたる研究の末、広範囲にミストスプレーできる新容器と、汚れに含まれるカルシウムを除去する<無力化洗浄>システムを完成させる。こうして誕生した「ルックプラス バスタブクレンジング」(2018年)は、1年で2200万本を販売。ビジネス誌で「浴室洗剤の市場の規模を2割拡大する快挙」と取り上げられるほどの大ヒットとなる。
一方、若年DINKsや単身者など、増加する<シャワー入浴者>に注目したのが花王である。シャワー入浴者は、浴室のこもったニオイに悩む人が多いという。このニオイは、シャワーで洗い場に飛び散った汚れが要因。シャワー入浴者は<湯船入浴者>よりも浴室の掃除頻度が低い傾向にあり、ニオイが発生していたのだ。

そこで、浴室空間のニオイの消臭に特化した「バスマジックリン 泡立ちスプレー デオクリア ハンディスプレー」(2019年)を発売。浴室掃除をさぼりがちなシャワー入浴者という、新たなユーザー層の掘り起こしを図っている。

またジョンソンは、無香・無添加といったキーワードに敏感な自然派ユーザーに着目し、「無香料・無着色・刺激臭無しなのに、99.9%石鹸カスを落とす!」という「スクラビングバブル バスフリー」(2019年)を上市。毎日のお風呂掃除にやさしいバスクリーナーとして、これまで洗剤を使用していなかったユーザー層への訴求を行っている。
「嫌いな家事」をラクにする
東京ガス都市生活研究所の「現代人の入浴事情2015」によると、男女全年代の8割以上が「お湯につかる入浴が好き」と答える一方、「シャワー入浴派」の数は増加傾向にあるという。ボタンひとつで自動湯張りできる風呂も普及するなか、好きな入浴を諦めてシャワーで済ませている背景には、湯張り以前の<お風呂掃除の手間>があると考えられる。
事実、ライオンが2018年に行った、20代~50代の共働き女性を対象とする調査で、嫌いな家事第1位は「お風呂掃除」であった。また、「身体的負担が大きい」「できれば誰かに頼みたい」「この家事はなくなってほしい」という項目でも、お風呂掃除が1位だったという。
共働き世帯の増加などにより、あらゆるものに<時短>が求められる現代。お風呂掃除にかかる手間や時間が減らせれば、湯船につかる入浴回数も増え、日々の生活がほんの少し豊かなものとなるだろう。また、入浴回数が増えれば、必然的にお風呂掃除の回数も増える。こまめな掃除により浴室がキレイになれば、入浴の心地よさがさらにアップするに違いない。
お風呂用洗剤は<時短><手軽さ><明らかな効果感>を備えた商品として――とくにこの10年で――格段に進化を遂げている。だが、いまだに浴室掃除をつらいものと考えている生活者は多い。「嫌いな家事」をラクにして毎日のお風呂を快適にする、最新のお風呂用洗剤の情報を、ぜひ店頭から発信していただきたい。