2000年代~さまざまな改革・改変の時代へ

「カバくん」戦争も勃発
2000年代に入ると、ニーズの多様化に伴い商品も細分化されるが、業界の再編も絡んで複雑な様相を呈してくる。
2000年、小林製薬から外出先等に携帯しやすいよう、小型化した「のどぬ~るミニ」が発売されると、その翌年には大容量の「のどぬ~る大容量タイプ」が発売されるなど、ニーズの多様化はここでも見て取れる。その後、2005年には爽快感を感じられるよう清涼感成分を増量した「のどぬ~るスプレーEXクール」を発売、付加価値向上に努めた。
一方、興和新薬の「新コルゲンコーワトローチA」は2004年に指定医薬部外品へと切り替わり、販売の面でも変化が見られた。

2007年には、「イソジンうがい薬」に携帯できる粉末タイプの「イソジンうがい薬 ハンディタイプ」(明治製菓)が登場。これは、水に溶かして使う粉末タイプのうがい薬だ。外出時にも使いたいというニーズに応えた商品だった。

さらに、2008年には、龍角散から「龍角散ダイレクトスティック」が発売される。これは45年の長きにわたる人気商品であった「クララ」を終売しての切り替えだったが、目に涙をためて反対する社員もいたという。しかし、社内の反対を押し切った藤井社長の決断は奏功。古くからのユーザーの一部を失っても新たな層を取り込むことに成功し、ヒット商品となった。


また、第一三共ヘルスケアは、同社再編翌年の同じく2008年、「口内炎に関するお客様からの相談が多い」という店員の声をきっかけに開発された「トラフル錠」を発売。口内炎治療薬の新ブランドとして立上げを行った。これは、第一製薬がもっていた「ペラックT錠」と同処方の製剤を、口内炎治療薬として訴求し、一物多名称品として発売したものだ。この「トラフル」ブランドからは、2010年にアズレンスルホン酸ナトリウム水和物配合のジェル状液を採用したのどスプレー「トラフルクイックショット」も登場した。

2013年には、小林製薬から、扁桃腺のはれ、痛みを改善する内服薬「ハレナース」が発売された。これは、水なしで飲めて口の中でサッと溶ける顆粒タイプの商品。「扁桃腺の腫れに効く」という、ほかにないコンセプトを打ち出した商品だった。

そして2016年、業界だけでなく、一般の生活者をも大いに驚かせたのは、それまで明治製菓(現:Meiji Seika ファルマ)が製造販売していた「イソジン」シリーズを、同年に発足したシオノギヘルスケアが販売することになったというニュースだ。これによって、Meiji Seika ファルマは「イソジン」を販売できなくなるが、同じ処方のうがい薬は「明治うがい薬」として販売されることになった。
この「事件」では、「イソジン」ブランドの移管もさることながら、生活者はキャラクターの行く末も注目していたが、「カバくん」はMeiji Seika ファルマの「明治うがい薬」に、それまでカバくんが表示されていた「イソジン」には、新たな犬のキャラクター「イソくん」が掲載されることで決着した。

その後2018年、「イソジン」ブランドに、ポビドンヨードの味や匂いが苦手な方向けに、同成分を使わない「イソジンクリアうがい薬」が加わることとなった。これは、セチルピリジニウム塩化物水和物とグリチルリチン酸二カリウムを配合した無色透明のうがい薬で、ポビドンヨードありきのイソジンでは異例の商品だった。
さらに、「トラフル」でも、2019年アズレンスルホン酸ナトリウム水和物とセチルピリジニウム塩化物水和物を配合したうがい薬の「トラフルクリアウォッシュ」が拡充された。


殺菌・消炎トローチ・飴のカテゴリーでは、「浅田飴」が、抗炎症作用をもつ水溶性アズレンと殺菌作用をもつセチルピリジニウム塩化物水和物(CPC)を配合した「浅田飴アズレンCPCドロップ」を2023年に発売。ラインナップのさらなる拡充を図った。さらに同年、のどの痛みに対して即効性を求める声が多いことを受け、「のどぬ~る」ブランドから、局所麻酔成分のアミノ安息香酸エチルを配合した「のどぬ~る鎮痛ドロップ」が発売された。いずれも使いやすいドロップ形状で、手軽にのどの痛みや腫れをケアできる商品として売り上げを伸ばしている。

また、2025年には扁桃炎に効く「ハレナース」ブランドから、消炎成分アズレンスルホン酸ナトリウムを配合したスプレータイプの「ハレナーススプレー」が登場。爽快な冷感刺激も特長で、気になったときにいつでもすぐに対処できる製品として、今後も注目されそうだ。
このように、のどケア関連カテゴリーでは、近年、企業・商品ともに大きな変革が起こっていた。全体的な売上は新型コロナウイルスの影響により一時的に低下していたが、2023年に感染症法上の分類が5類になり、インバウンド需要が回復したことから、今後も期待ができるカテゴリーといえるだろう。
また、のどケア関連は、唾液の分泌低下や、医薬品の副作用による口渇などに悩む人の多い高齢者にもアピールできる分野だ。口内環境のトラブルを緩和し、健やかに保つことで健康寿命の延伸にも寄与できるカテゴリーであるため、店頭での情報提供などを含めた高齢者への適切な応対なども、重要な課題となってくるだろう。