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清涼飲料歴史市場シェア

2025年8月29日歴史・グラフ更新

2010~20年代新たな需要の創造と発展

缶コーヒーを飲まない新世代への提案

2008年のリーマンショックと2009年の冷夏により、清涼飲料業界は戦後3度目となる<2年連続生産量減少>を経験したが、2010年の記録的猛暑と翌2011年の東日本大震災に伴うミネラルウォーターの需要が拡大。大きなうねりを経験しながら、新たなニーズを捉えたブランド・商品が登場した。

サントリーフーズ 「クラフトボス ブラック」「クラフトボス ラテ」 (2017年発売)

2010年代に新たなニーズの開拓と拡充に成功したブランドの一つが、2017年に発売された「クラフトボス ブラック」「クラフトボス ラテ」(サントリーフーズ)。1992年に発売された「ボス(BOSS)」から発展したブランドだ。

「ボス」は、1992年の発売以降、仕事の現場で日々奮闘する男性をコアターゲットとしたプロモーションが奏功し、短い休憩時間で一息つける缶コーヒーの代名詞的存在となっていた。しかし、2010年代になるとコンビニ各社で100円のコーヒーが販売されるようになるほか、いわゆるサードウェーブ系コーヒーがトレンドとなり、若者にとって缶コーヒーは「上の世代の人たちが飲む」飲料というイメージが定着しつつあった。

そこでサントリーフーズは、新世代向けの清涼飲料としてコーヒー飲料を再定義。コンビニなどのプラスチックカップ入りのコーヒーには親しみがあるが、缶コーヒーは買わない若いオフィスワーカーをコアターゲットに据えたクリアPETボトルの「クラフトボス」シリーズを2017年に発売。短時間で飲み終えることを想定していた缶コーヒーに対し、缶コーヒーよりも容量が多く、キャップ付きで中身の見えるクリアボトルを採用し、オフィスワークのあいまに時間をかけて少しずつ飲むことができるように。さらに、苦みを抑えた軽やかな味わいが若い世代のみならず女性からも支持され、記録的な売上げとなった。現在ではコーヒーベースのほか、紅茶ベースのアレンジティーや、果汁やビタミンを配合し、栄養補給とリフレッシュメントを訴求するアイテムなども展開。ブランドを強化し続けている。

新たな訴求の機能性表示食品

キリンビバレッジ 「キリン iMUSE レモン」「キリン iMUSE 水」「キリン iMUSE ヨーグルトテイスト」 (2017年発売)

また、2017年には、「免疫ケア」を謳った機能性表示食品として、独自素材のプラズマ乳酸菌を配合した「キリン iMUSE」シリーズ(キリンビバレッジ)が登場。発売当初、飲料として「キリン iMUSE レモン」「キリン iMUSE 水」「キリン iMUSE ヨーグルトテイスト」の3品を市場に投入した。

体調管理が気になる冬を中心に訴求していたが、2020年以降の新型コロナウイルスによるパンデミックを経て、春は寒暖差による体調管理、夏は猛暑など、年間を通じたプロモーションを展開。ラインナップを強化し、堅調に売上げを伸ばしているという。

このように、2010年代以降は、仕事の合間や気になった時に清涼飲料でリフレッシュしながら栄養素を摂る、体調を気遣うといった意識が生まれ、市場は進化を続けているようだ。

無糖炭酸水の定着とPB商品への波及

アサヒ飲料 「ウィルキンソン タンサン」 (2010年発売)

また、2010年代から大きく成長した商品として重要なのが、炭酸水だ。瓶入りで、焼酎などの「割もの」としての需要がメインだった炭酸水だが、2009年頃から居酒屋を起点に始まったハイボールブームが家庭や個人に普及。2010年にアサヒ飲料が、PETボトル入りの「ウィルキンソン タンサン」を首都圏で発売したところヒット。翌年以降に全国展開した。アサヒ飲料は、生活者に「無糖の炭酸飲料であること」「水と同じようにそのまま飲む」ことを理解してもらうため、ミネラルウォーターと並べて陳列し訴求したという。2013年に「サントリー 南アルプスの天然水 スパークリング」(サントリーフーズ)を発売するなど、各社もこの流れに追随した。

無糖炭酸水は健康志向にマッチすること、従来のお茶やジュースとは異なる刺激によるリフレッシュ感が得られる点が支持され、現在でも「強炭酸」を謳ったものや各種フレーバーを加えたものなど、さまざまな炭酸水が棚に並んでいる。

炭酸水についてはPB品の動きも活発で、スーパーマーケットやドラッグストア各社がトレンドをふまえながら新商品を投入しているほか、インターネット販売のみに絞った安価な炭酸水ブランド「OZA SODA」(ライフドリンクカンパニー)も注目を集めているようだ。

「おいしさへのこだわり」

取材時に印象に残ったのが、各社で耳にした「おいしさへのこだわり」という言葉だった。どんなにお金をかけて開発しても、宣伝をしても、市場に残るのは結局「おいしいもの」である。清涼飲料の開発者たちは、素材や成分、製法、容器、ターゲットの嗜好…と日々研究を重ねている。その究極の目標は、飲んだ人に「おいしい」と感じてもらうことなのだ。


清涼飲料は、「もっとおいしく!」「もっと楽しく!」「もっと新しく!」と、常に進化を続けている。たとえ大ヒットした商品でも、わずか数年でリニューアルするケースは珍しくない。そうした業界全体の前向きな姿勢もあり、清涼飲料の生産量は(幾度か微減を経験しつつも)右肩上がりに増加し続けている。

今後も、毎年各社から次々と新商品が登場するだろう。その1本1本には、「飲んだ人に『おいしい』と喜んでほしい」という、開発者たちの純粋な想いが詰まっているのだ。

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