Category Navi 歴史を知れば、データがもっとおもしろくなる!

MENU

入浴剤歴史市場シェア

2023年11月24日グラフ更新

2010年代~2020年代「商品力」+「情報」が重要な時代

スマートフォンが爆発的に普及した2010年代。インターネットは生活に欠かせないものとなり、ブランドや商品の価値を決めるのは、マスメディアではなく生活者自身となった。店頭にはたくさんの商品があふれ、以前のように商品の機能性だけで新規ユーザーを取り込むことは難しい。そこでメーカーには、単によい商品を作るだけではなく、生活者に選ばれる物作り・提案など、時代に合わせた変化が求められている。

花王の「入浴の価値を高める提案」

「実感できる効き目」にこだわり、ひたすら機能向上に注力してきた花王だが、2015年頃からは「入浴の価値を高める」という視点で、多様化する生活スタイル・ライフステージに合わせて提案を行っている。

花王 「バブ メディキュア」 (2018年発売)

たとえば、30代~40代の共働き世代は毎日の入浴時間が10分未満と短く、「ゆっくり浸かりたいがその時間がない」と不満を抱えているという。そこで同社は2017年、「バブ」を短めの入浴時間でも効果を実感できる新処方へと改良。さらに、2018年には泡の数を「バブ」の10倍に増やした、高濃度炭酸処方の「バブ メディキュア」を上市。平日は「バブ」の短時間入浴で疲れを癒やし、金曜の夜は、休日を前向きに楽しむために「バブ メディキュア」でリフレッシュ、という使い分けを提案し、日々疲れを感じている共働き世代の心を、ガッチリと掴んだ。


花王 「バブ エピュール」 (2016年発売)
花王 「バブ エピュール バスエッセンス」 (2018年発売)

また、入浴頻度は低いものの週末の入浴時間は長く、美容への関心が高い20代~30代女性をターゲットにしたのが、2016年に発売した「バブ エピュール」。通常の「バブ」の約20分の1という超微細炭酸と、当時、海外セレブが使っていたことで話題を集めた成分<エプソムソルト>で、入浴効果を高めて発汗を促し、天然ハーブアロマで気分を解き放つという入浴剤は、週末のぜいたくな「浄化美容浴」アイテムとして大ヒット。2018年には、約80%が保湿成分という液体入浴剤「バブ エピュール バスエッセンス」を上市し、こちらも「濃密美容液風呂」アイテムとして、美容意識の高い女性に支持されている。

バスクリンの「情報を伝える場づくり」

一方、バスクリンは商品だけでなく、ユーザーに「情報を伝える場づくり」にも力を入れている。

バスクリン 「きき湯ファインヒート」 (2012年発売)

たとえば、「きき湯」の炭酸ガス濃度を大幅に高めた機能性入浴剤「きき湯 ファインヒート」(2012年)は、アスリートのコンディションを整える入浴剤として、ロンドン五輪の日本代表選手団に提供。メダリストたちの絶賛により知名度があがったことで、スポーツを趣味とする生活者に愛用者が多いという。


バスクリン 「アーユルタイム」 (2018年発売)

また、インドの伝統医学・アーユルヴェーダの思想を取り入れたバスソルト「アーユルタイム」(2018年)は、有名ホットヨガスタジオとコラボし、「お風呂でできるヨガポーズ」をインストラクターが紹介。新たなファンを獲得した。


バスクリン 「バスクリンマルシェ」 (2018年発売)

LOHAS(健康と地球環境意識の高いライフスタイル)志向の高まりに合わせて発売された「バスクリンマルシェ」(2018年)は、石油系原料不使用で、有効成分・香料・色素・保湿成分・塩素除去剤・基剤のすべてを自然由来の原料だけでつくった薬用入浴剤として、新たな使用者を開拓。売上の一部を森林保全活動に寄付し、水を育む自然再生プロジェクト「バスクリンの森」も行っている。


バスクリン 「薬用ソフレ スキンケア入浴液」 (1998年発売) ※画像は2017年のもの

そのほか、液体入浴剤売上No.1(インテージSRI調べ、2009年1月~2018年12月 液体入浴剤ブランド 販売金額)の「薬用ソフレ」シリーズでは、SNSを活用した“コト情報”の伝達を強化し、乳幼児の入浴手順や正しい知識を伝える「赤ちゃん入浴のコツ」を動画配信。多くの子育て世代の共感を集め、話題となった。

なお、同社の看板商品である「バスクリン」シリーズは、2018年に全面リニューアルを実施。翌2019年には「粉末タイプ入浴剤ブランドにおける最新年間売上金額世界No.1」として、ギネス世界記録に認定された。

「おうち時間」の増加で大きく伸長

2020年、新型コロナ禍で多くの市場が低迷するなか、入浴剤市場は大きく伸長する。在宅時間の増加や、TVなどで入浴が健康維持・ストレス解消法として紹介されたことから、日常的に入浴する人が増え「バスタイムの楽しさ・気持ちよさを高めるアイテム」として入浴剤が注目されるようになったのだ。

花王 「バブ クリアタイプ/ミルキータイプ」 (2020年発売)

さらに花王は2020年8月、入浴剤の香りが苦手な人や、小さい子どもがいて入浴剤使用をためらう人向けに、無着色・無香料の「バブ クリアタイプ」と、乳白色・無香料の「バブ ミルキータイプ」を発売。水道水の塩素を除去して素肌と同じ弱酸性の湯とする「さら湯よりもっといたわるお湯質」を訴求し、新たな入浴剤ユーザーの取り込みに成功した。また同年、「バブ」シリーズ全体の販売数は前年比108%となり、<バブ史上最大売上>を達成している。
(※湯ざわり)


バスクリン 「バスクリン アロマスパークリング 世界自然遺産シリーズ」 (2019年発売)

一方のバスクリンは、お湯の表面で発泡して香りを浴室に拡散する「バスクリン アロマスパークリング」「世界自然遺産シリーズ」(2019年9月発売)が、「自宅で旅行気分が楽しめる」と話題に。発売から1年4カ月で5.5億円を売り上げる大ヒット商品となる。また2020年には、「バスクリン」ブランドが90周年を迎えたことを記念し、さまざまな数量限定の企画品を発売。こちらもネットなどで話題となった。

高まる「店頭の重要性」

ある調査では、日本人の6割以上が毎日湯船に入浴しており、週に1回以上湯船に入浴する人は9割を上回っているという。一方で、入浴剤の使用率は50%を少し超える程度に過ぎない。だが、取材をした各社とも、そうした状況を「まだまだ伸長可能」「のびしろがある」と前向きに捉えていた。事実、入浴剤市場は2000年代に底打ちをして以降、徐々に上向きとなり、2020年には大きく伸長している。

現代の入浴剤は――商品ごとに特長はまったく違うものの――どれも入浴の満足度・充実度を変えてしまうほど機能性が高い。さらに、「どんな人や症状に向いているか」「効果的な使い方」といった情報を知ると、より入浴剤の効果感は高まる。

生活者の消費傾向が「モノ」から「コト」へと変化し、SNSなどで爆発的に情報が拡散したもの、いわゆる「バズった商品」が大ヒットしている。そんな現代だからこそ、接客やPOPを通じて正しい情報を発信できる店頭の重要性は、これまで以上に高まっているといえるだろう。

お客様に「入浴剤の楽しさ」をお伝えするためにも、まずは自店で扱う入浴剤のうち、気になる商品を実際に試してみることをおすすめしたい。湯船にゆったりと身を沈め、自分で効果を体感することで、お客様の心に響く、生きた情報が伝えられるようになるだろう。ただし、長湯でのぼせてしまわないよう、くれぐれもご注意を。

当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

© 2018 NetPILOTING Inc.