2020年代共働き世帯7割で、高まる利便性ニーズ

おでかけで「キューブ」、まとめ買いで「大容量」好調
2020年代に入ると、共働き世帯の比率は7割(2021時点)にまで上昇。仕事に子育てにと毎日が時間との戦いとなった家庭において、使い勝手がよく、ひと手間を減らすことのできる育児商品が求められる時代が本格的に到来した。そのような社会変化を背景に、利便性の高い剤形として存在感を見せ始めているのが、2002年に発売された計量いらずのキューブタイプ粉ミルクと、2018年に発売が解禁された液体ミルクだ。
共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移

※2010~11年の値は岩手、宮城、福島を除く全国の結果
出典:内閣府「男女共同参画白書(令和5年版)」
キューブタイプは、乳児用の「明治ほほえみ らくらくキューブ」、1~3歳を対象にした「明治ステップらくらくキューブ」の2品のみで、どちらも明治の商品となる。2023年には、56億円を投資して穴の開いた新形状のキューブを開発。溶けやすく、袋からも取り出しやすい形にリニューアルし、同時に要望の声があった大容量タイプもラインアップした。
大容量パックについては、キューブタイプのほか、缶の粉ミルクでも2個セットでの販売が多く見られるようになっているが、買い物頻度を減らすための「まとめ買い」ニーズ、持ち帰りのないEC購入の増加などの影響が考えられるという。

明治
「明治ほほえみ らくらくキューブ」
「明治ステップ らくらくキューブ」
(2023年)
液体ミルク、備蓄と日常の両面で再注目

液体ミルクは、江崎グリコと明治に続き、2020年に「ビーンスターク 液体ミルクすこやかM1」(ビーンスターク、現・雪印ビーンスターク)、2022年4月に 「森永はぐくみ 液体ミルク」 (森永乳業)が発売されている。
2023年には、「明治ほほえみらくらくミルク」シリーズから、飲み残しに対応できるリキャップ型で、月齢に合わせて選べる2種の容量タイプが登場。同年末には、液体ミルクの缶本体に哺乳器用乳首を直接つけられるアタッチメント(ピジョンの哺乳器「母乳実感」専用設計)の単体販売もスタートした。哺乳瓶の持ち歩きなしでのお出かけが可能となるほか、手間の軽減によって誰もがミルクを与えやすくなることで、共働き世帯の子育てをサポートする商品となっている。一方、2024年初頭に起きた能登半島地震をきっかけに、被災地以外での備蓄需要が伸長。今後も開発の本分であった防災ニーズ、そして日常使いのニーズの両面で求められる商品として、大きく育っていきそうだ。

明治
「明治ほほえみらくらくミルク」※左から
120ml/200ml/アタッチメント
(2023年)
2024年2月には、日本の国内出生数は8年連続で過去最少を更新し、想定を上回るスピードで少子化が進んでいることが明らかになった。今後、乳幼児の母数自体は絶対的に減ってはいくものの、今まで以上に赤ちゃんの健康への関心は高まることも予想されている。母乳の代替として、命をつなぐ価値ある商品としての訴求や、変わりゆく育児スタイルに対応した商品設計が、乳幼児用ミルクカテゴリーの維持拡大の肝になっていくだろう。