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解熱鎮痛剤歴史市場シェア

2024年9月27日歴史・グラフ更新

2010~2020年代ロキソプロフェンの登場とパンデミックの影響

ロキソプロフェンとプレミアムライン

2000年代に価格競争に陥っていた解熱鎮痛剤市場は、2010年代に入り大きな転換期を迎える。そのカギを握ったのが、ロキソプロフェンの登場である。

第一三共ヘルスケア 「ロキソニンS」 (2011年)

医療用医薬品だったロキソプロフェンが、一般用医薬品成分にスイッチされたのが2009年のこと。医療用の「ロキソニン」を擁する第一三共の関連会社である第一三共ヘルスケアは、2011年に「ロキソニンS」としてロキソプロフェン単味剤を発売。「ロキソニンS」は第1類医薬品として発売されたため、薬剤師でないと販売できないものだったが、医療用での知名度も手伝って、瞬く間に販売数を伸ばした。

とある競合メーカーの担当者は、「もし『ロキソニンS』が指定第2類医薬品として発売されていたら、ほかの解熱鎮痛剤はもっと痛手をこうむっていたかもしれない」と述懐する。一般的に、ひとつのカテゴリーに大型商品が登場した場合、既存のブランドは食われてしまいがちだが、「ロキソニンS」の登場はむしろカテゴリーの活性化にはたらいたのである。ロキソプロフェンが第1類医薬品、イブプロフェンが指定第2類医薬品というすみ分けができたのも一因ではあるが、「ロキソニンS」の登場により、高機能・効き目志向が顕在化し、カテゴリー全体が高価格帯にシフトしたことが、活性化をあと押しした。

「エキセドリンLOX」(ライオン)など、他社からもロキソプロフェン単味剤が登場したあとに、ロキソプロフェンに制酸剤を配合した「バファリンEX」(ライオン)や、ロキソプロフェンにトラネキサム酸を配合した「コルゲンコーワ鎮痛解熱LXα」(興和新薬)など、さまざまな配合剤が現れ、“本家”「ロキソニンS」(第一三共ヘルスケア)からも制酸剤配合の「ロキソニンSプラス」や、アリルイソプロピルアセチル尿素を配合した「ロキソニンSプレミアム」が登場。イブプロフェンがOTCにスイッチしたときにも、単味剤が発売されてから配合剤、という流れで商品群が拡大していったが、ロキソプロフェンでも同様の流れがみられた。

ライオン 「バファリンプレミアム」 (2014年)

また、ロキソプロフェンを配合していないプレミアムラインも、次々に登場。エスエス製薬は、従来品の「イブクイック頭痛薬」よりもイブプロフェンの配合量を増量した「イブクイック頭痛薬DX」を発売したほか、解熱鎮痛剤として国内初の口腔内崩壊錠「イブメルト」を発売。ライオンは、「バファリン」ブランドの最上位アイテムとして、アセトアミノフェンとイブプロフェンを独自比率で配合した「バファリンプレミアム」を発売している。シオノギヘルスケアは、イソプロピルアンチピリン、アセトアミノフェン、アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン配合の「セデス・ハイ」「セデス・ハイG」を「セデス」ブランドの中核商品と位置づけている。

2000年代には安売り傾向に陥った解熱鎮痛剤カテゴリーだったが、2010年代に入るとプレミアムラインが次々に投入されたことで活気が戻った。さらに、これまで「少しの頭痛だったら薬を使いたくない」と考え、我慢してしまう層に向け、解熱鎮痛成分の量を減らした「バファリン ライト」(ライオン)といった商品も登場し、カテゴリーの裾野も広がった。

パンデミック後の動き

2022年発売の「セデス・ハイ プロテクト」(塩野義製薬)など、パッケージにアセトアミノフェンの表示を付加した商品も
2024年には、第一三共ヘルスケアから、医療用と同名の「カロナールA」が発売された

ここで、2019年12月、中国・武漢で最初に確認された新型コロナウイルス感染症による影響に触れておきたい。

2020年3月上旬、WHOが新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)を表明し、日本ではその前月の2020年2月1日に指定感染症となった。その後、医療機関へのアクセスが一時制限されたことで、発熱や咽頭痛といった新型コロナの急性期症状への対処のほか、ワクチン接種後の副反応対策として、解熱鎮痛剤へのニーズが高まった。

また、パンデミック初期の2020年に「新型コロナ発症時はイブプロフェンを飲まないほうがよい」との説が流布(その後、科学的根拠が得られていないものと判明)したこと、2021年春から全額公費でのワクチン接種が開始(2024年3月終了)したことなどを受け、各社アセトアミノフェン製剤の差別化や強化を図る動きも見られた。

感染力の高い新型コロナは、2023年5月の五類感染症への移行後も、夏と冬に感染拡大をくり返しながら通年で流行している。今後も、感染に備えたストック需要のほか、発熱等の症状があっても医療機関を受診せずに解熱鎮痛剤で対処、療養する人も一定数以上存在することが考えられる。解熱鎮痛剤市場は、新興感染症の出現によってその動向に影響が生じたカテゴリーの一つと言える。

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